｢にゃー｣
｢7時か･･･｣
｢にゃぁっ｣
7時という時刻を無視するように可愛らしく鳴く猫はまるで魅惑のマドンナ、
だが、グズグズしていると学校がきてしまう。
｢愛してるよ、アイ｣
と、少し頭を撫でてやり、布団から起き上がる、
ふとテレビを見ると、飛び降り自殺のニュースがやっていた、 ｢失恋だけで自殺･･･？
人生全てが愛ってわけじゃないのに阿呆らしい。本当、最近こういう低脳ばかりで馬鹿ばっかりだな｣ と吐き捨てると、
居間にいる母親に怒られた、。
だって低脳は低能だ、ばかは馬鹿なのだ、人生が愛でできていれば人生は皆うまく言っているはずなのだから。
歯磨き粉の辛い味で言葉を消すと、ドアに向かった。
｢行ってきます｣
｢行ってらっしゃい｣
と母親には軽く挨拶をする、
｢アイも、じゃあな、｣
と軽く頬擦りをすると
｢にゅああっ｣ と、可愛い声をあげた。
アイが愛おしいが、もう行く時間だ。
朝の話はここまでにして、俺の自己紹介でもしよう。
俺の名前は村根恋、高校一年生、
彼女？そんなもの知るか。
今時高校一年生で童貞は遅いみたいだ、が、
彼女にするなら、訳の分からない濃いメイクやチークを塗りたくる気持ち悪いギャルや、
根暗でスマホと一心同体なやばいやつとは死んでもなりたくない。
清楚で天使、言わゆる如何にも純粋さを身にまとった子と決めている。
だが、今の時代、そんなの純粋清楚で天使な子など中々居ない。
学校につくとやはり、現在の学生など、
セキュリティという言葉を知らない阿呆が平気で顔を晒し、
淫らな行為をするビッチを演じたり、
LINE、Twitter、ツイキャスやインスタで自分可愛いと自画自賛をしながら
スマホに目を落とす日々な奴がいたりと、
先程の俺の彼女に死んでもなりたくないリストみたいなやつばかりだ。
俺は携帯が嫌いなアナログ人間だが、何故だと思う？
そう、スマートフォンが普及してから日本は、いや、日本人はダメダメだ。
任せすぎているのだ、 ｢今の日本は嫌いだ･･･っ｣
そう、それこそ、 ｢スマホは地球の癌だーっ！！｣
･･･い、いけない、落ち着け村根恋、心の声を漏らしてしまった。
今目の前、いや、それどころか四方八方でスマートフォンを使っている駄目野郎ばかりだ。
喧嘩になりたくない大きな声で言いすぎたのは不味い、、、、
いや、見たところ誰も気づいていないようだ。
だが、1人、たった一人だけ、
スマートフォンなどという機械は持たず、濃いメイクの女子が多いのに素の肌、髪などは染まらない真っ黒。
自分の彼女にしたい、清楚で天使な純粋さを持つ素晴らしい女子、
つまりは俺が片思いしている、森山愛。愛ちゃん。
愛、なんていい響きだ。純粋な愛！天使の愛！清楚な愛！なんて可愛くて清楚な子なんだ。
今の時代、こんな高校生はこの子しかいないだろう。
断言出来る。
いやむしろ断言出来ないのでは困るくらいだ。
自然に頬が緩み、にやついてしまう。
もう見る方向が彼女にしか行かない。
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ胸が高鳴って心臓の音がはっきりと聞こえるほど見つめる。
彼女にしたい。
彼女にすればどれほど楽しい学校生活を送り、青春を楽しむことが出来るか想像しただけで脳がいっぱいになる。
いや、彼女にしてやる！
なんなら妻に絶対してやる！絶対に結婚し子供を作り、幸せな家庭を作る！
「何がスマホは地球の癌だよ…」
は？
「恋、お前の考えは昭和だ、昭和、お前平成生まれだよな？」
馬鹿か、お前と一緒のクラスにいる時点で平成生まれだ
「黙れ、顔だけでモテてるクズゆとり野郎」 顔だけでモテてる、と言う言葉が1番相応しいであろう彼は、俺の唯一の友達、空条麻海。
そりゃあ顔はいいと思う。そこらへんにどこでもいそうな出会い厨イケメンのような顔をしている。
髪を伸ばし、染め上げ、うるさいネックレスをつけた、
いや、出会い厨と言うか水商売野郎と言うのが対等かもしれない。
「今のいじめはTwitterやLINEが1番らしいじゃん…それって全部上っ面の画面上で起きてるんだぜ、
そう考えると悲しいだろ、ほんっとにスマホは人間を駄目にするだけだっての」
Twitter、LINEでその場で思いついた言葉を打てるのは本当に厄介だ、言葉だと言い直せるのに。
画面上だからといって無理に強がりいじめをするなんて、本当に可笑しい。
笑えてくるほどだ。
いや、笑えないか 「そうか？今の時代はサイッコーだぜ？」
ほう、その理由を説明しろ。
「ツイキャスで顔出し、Twitterでは女装するだけで女とSEXし放題よ。」
このモテクズが。
「更にはレンタル彼氏、ニコニコにyoutube。動画あげるだけで稼ぎ放題だわで生きやすいぜ」
最低の野郎だな。出会い厨は出て行け
「それが今のモテ方稼ぎ方だ」
随分とドヤ顔が似合うお顔だ